冒頭で前述したように、DIYでメンテナンスを行う動機・意義をどこに置くか?で
- 少しでも費用を安く
- 少しでもフィーリングを良く
- 弄ってるだけでハッピー、そのものが趣味化
と挙げましたが、この章でも①寄りの「コストパフォーマンス」に重きをおいて、後述する章の具体的なメンテナンス内容にて、どういった工具が必要になってくるかをご紹介します。
<(純正)車載工具>
読んで字のごとく、車両に備え付けられたオマケ?の工具です。
その車両に必要なサイズの工具が(全てではないが)ひととおり入っています。
中古購入したバイクは紛失していることもありますし、あっても何か欠品している場合もあります。
(某大手中古バイク販売店は、紛失車両にはオリジナルの車載工具セットをつけてくれているようです)
基本的には純正車載工具は、出先でのトラブル対応に、ないよりマシな緊急用とすべきもので、一般的に販売されている工具に比べると(メーカーのコストダウンの結果)色々な面で質がよくなく、本格的なメンテナンス・修理に使うには心もとないところがある・・・
というのが一般的なDIY推奨サイト等での評価ではないかと思います。
上での評価は決して間違いではなく、低質な工具を使ったが故の失敗は多く起こります。
初心者にありがちな、ボルトナット・ネジが緩まず、格闘の結果ボルトナットの角やネジの頭を潰してしまい(舐めるといいます)、緩めるのに余計に難儀することになるパターンが多いですね。
しかしながら、その車両特有の構造等のため、車載工具でないとできない/車載工具が一番使い勝手が良いという場合もあります。(例:カワサキ・スーパーシェルパのプラグレンチ等)
DIYメンテ初期段階であまり工具に投資するのも悩むところでしょうから、工具が揃って充実してくるまでの当面は、使えるところでは純正車載工具を使えばよいと思います。
本格?工具にサイズが揃っていないうちは、その補助(ボルトナットの供回り防止等)程度にはじゅうぶん使えますし。
車載工具の内容
ここでは車種は特定せず、例としてよくあるセット構成をご紹介します。
- ドライバー 多くの場合一本を差し替えて、プラスマイナス兼用になっている
- スパナ(オープンレンチ) 8mm~17mmくらいのコンビネーションが2~4本
- 六角レンチ(アーレンキー) 3mm~8mmくらいのサイズのものが2~4本
- アクスルレンチ 19mm~25mmくらいの、車載工具に特有の大サイズながら薄型のレンチ
- プライヤー
- プラグレンチ
- フックレンチ (リアのプリロード・車高調整用)
- アクスルレンチ、フックレンチの延長持ち手
- スポークレンチ ワイヤースポークホイールの車種の場合
車載工具を使う場合の注意点
車載工具を使っていくうえで、工具としての品質が「こころもとない」というのは事実です。
- それを解った上で敢えて使う場合は、工具の使い方の基本をしっかり守ることです。
- ドライバーはしっかり押しながら廻す(一般的に押し7割回し3割の力加減といわれています)
- 緩め・締めとも、スパナはアゴの短い方向に回す。
- 手首の捻り程度で緩まない/締めきれないものは、スパナではそれ以上無理しない。
(本来スパナは緩め・本締めには使わないものです。メガネレンチやソケットを買いにいきましょう)
あと、品質が「こころもとない」の理由として、耐久性(精度の低下)があります。
スパナ等の口が開いてきてボルトナットを舐めやすくなったりします。
当面や試しに程度であれば純正車載工具でもなんとかなりますが、永続的にDIYでメンテをするなら、適当なタイミングで本格工具の導入を検討しましょう。
<車載工具「だけ」でどこまでできるか>
4章(日常点検)+α
- ブレーキ/クラッチ/チェンジといったレバー/ペダルの、遊び量・高さ・距離
- 体重や積載重量にあわせたプリロード調整
は、車載工具でじゅうぶん対応できるでしょう。
5章(洗車)
- 各部を眺めまわす過程で、カウルやミラーの緩み等があった場合
にも車載工具レベルでOKでしょう。
6章(バッテリー)
- バッテリー本体およびターミナルの着脱
それほどの締め付けトルクは必要ないので、車載工具の小サイズのスパナとドライバーでも対応可能です。
7章(オイル交換)
- オイルフィルターカバーの着脱
に関しては車載工具の小サイズスパナや六角レンチで間に合うと思いますが
- オイルドレンプラグの着脱
については、メガネレンチ(ボックスエンドレンチ)、ソケットレンチを使ったほうがよいでしょう。
8章(チェーン張り)
- テンショナー調整とロック アクスルシャフトの緩め締め
いずれも車載工具でなんとかなる範囲です。
比較的大トルクとなるアクスルシャフトは、レンチが薄いのでまっすぐに掛けるよう注意。
チェーン交換やスプロケ交換には、車載工具では太刀打ちできません。
9章(ブレーキパッド、シュー交換)
キャリパ取り付けが6mm~8mmの六角ボタンヘッドボルト等であれば、車載の六角レンチ(アーレンキー)でもなんとかなりますが、比較的高いトルクで締め付けされているので、車載工具で手出しするのはやめておいたほうが無難です。
10章(パンク修理とタイヤ交換)
車体からのタイヤホイールの取り外しは、車載工具でも特に差し支えないと思われますが。
そもそもこの項目に手をつけるようになるころには、(出先以外で)わざわざ車載工具を使う意味がない程度には工具が揃っているのでは???
<本格工具を購入するには?>
工具専門店はもちろん、ホームセンター・カー/バイク用品店・通信販売で購入可能です。
この先の投資!と、セット売りのものでいきなり揃えてしまうもよし
作業中に必要になる都度、バラで買い足すのもよし
工具種類ごとに各サイズセットのものを、それぞれ買い足していくもよし
種類ごとに評判のよいブランドで揃えていくもよし
各々の予算と都合次第です。
最近では100円ショップでも(純正車載工具よりはマシな程度の)各種工具がある程度揃うようですね。
口の開かない構造のメガネレンチや六角レンチであれば、この記事で紹介している程度のメンテナンスには充分かもです。
(ただし、当たり面の精度や強度はイマイチなので、大トルクかけるにはちょっと不安)
裏技として解体屋に行って、ちょっと高級な車の純正車載工具を漁るという手もあります。
(それなりの車種だと、立派なケースに納められたブランド物の場合もあり)
よく「最低でもKTC!」などと言っている人もよく見かけますが・・・
あれは作業効率や耐久性でナンボのプロ(やそれに近いハイアマ)か、または手段が目的に転化して工具そのもののマニアになってしまって手持ちを自慢したい人だと、どの程度の作業こなしているかを見て理解すればよろしいかと思います。
<オススメ工具>
作業を進める上で必須となって買うものを除き。
私が個人的に薦める、純正車載工具にない、あらかじめ買っておくとよいと思う工具は
ウォーターポンププライヤー
です。
「ウォーターポンプ」は名ばかりで、専用工具が幅広く揃うまでは何かと代用の効く、汎用性の高いものです。
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